第二章 神様だってミスはする


GM:で、どうするの?これから。
シフォン:仕事、仕事。
GM:ここで探すの?それとも、クラティエに戻る?
ユレス:ここで探そう。
GM:じゃあ、一日経ってるから生活費減らしておいてね。
ゼフィ:う〜ん……生活費が厳しい……。
ハドソン:俺は身分LV−8なんだから、生ゴミでも食べて生活費減らせないかな。
GM:冒険者になった時点で一人前の人間として認められるんだから、人間としての尊厳をもって生きような。ってゆーか、そんなこと言ってるからレリィナや瑞子にけなされるんだぞ。

ユレス:さて、地橋世界の大事実を知る者だが、何か仕事はないかい?(笑
GM:…………。
シフォン:仕事、仕事〜。仕事ないっすかぁ〜?
GM/マスター:(まるで失業者だな)「仕事……一件だけならある。役人の依頼だな。公安局か……調査かな……?」
レリィナ:調査ぁ?私、やることないじゃない。
GM/マスター:「でも、調査って言ってもやばそうだぜ?」

公安局(公安総局)は軍令府の配下にあり、国内の陰謀、軍内の綱紀維持、戦場での督戦を行う部局。局長はウィルフィス=ディニング千騎長。大隊以上の集団にいる行軍参謀もこの局下にある。イメージ的には日本における公安なんかと同じ。

ユレス:まぁ、俺は地橋世界の大事実を知る者だからな。問題ない。
GM/マスター:じゃあ、依頼人を呼ぼうか。

GM:依頼人は個室を要求したようで、君たちはその個室に案内され、中には27、8歳ぐらいの騎士がいます。男性で、「私は公安総局のファーロン百人長というものだ」と西の方のなまりが入ったことばで自己紹介します。
瑞子:西?ガイウスかファンか……。
GM/ファーロン:「依頼は城の警備状況の調査だ」
ユレス:なんだか、簡単だなぁ。
GM/ファーロン:「君たちに実際に城に潜入してもらい、警備状況を見るのだ。もちろん、兵達には知らせていない」
ユレス:それって、捕まったら斬首なのでは……?
シフォン:調査じゃないぃ〜〜!!
GM/ファーロン:「ああ、城のトップには伝えてあるから安心したまえ」
シフォン:でも、もしうっかり見張りの兵を殺しちゃったら?
ユレス:それは仕方ないよね?
GM/ファーロン:「まぁ、死ぬ方が悪い。で、ちゃんと仕事をしているかどうか確認するために、目標を与えよう。その城に城主がいるかどうか、見てきてくれ」
シフォン:ちえっ。宝物庫じゃないんだ。
ユレス:見取り図は?(笑
GM/ファーロン:「そんなもの、渡せるか!一人、前金100V後金300Vだ」
ユレス:OK、請け負おう。
GM/ファーロン:「目標の城は、東部にある対ユリウスの最前線、アルディファス城だ。城主は東部辺境伯アース=ディニング」

地橋歴114年にゼーラック内海と南帝洋をつなぐ大運河、”青龍公運河”を防衛するために築かれた軍事要塞。戦略的に最も価値の高い城塞である。アース=ディニングは冒険者上がりの城主で、元邪竜騎士団長。現公王・緑静公ユリアの信頼も厚い。モデルは昔GMがプレイしたキャラ。

ユレス:そういえば、こいつの身分は確かなんだろーか。
GM:(おおっ!ス……スルドイ……)
レリィナ:この冒険者の店は国が管理しているんだから、何かあったら国の責任にすればいいじゃん。
ユレス:まぁ、そうだな。
GM/ファーロン:「第4次フォネリア戦争の激化によるユリウス方面の情勢悪化により、現在アルディファスにはザルド伯領軍が加わった2個師団、計26000の兵が存在する」
瑞子:26000!?めちゃくちゃ多くない?
ユレス:2600とか、260ならまだ何とかなるが……。
ハドソン:26人だったら楽なのに……。(笑
GM/ファーロン:「まぁ、大半は城外の天幕暮らしだから、城内にいるのは千か二千ぐらいじゃないかな?」
一同:じゅうぶん多いわっ!!

気を取り直して、パーティーは潜入方法の検討に移行。GMが暖かい目で見守ってしまうひとときです。

ユレス:変装して入るのが基本だろうな。
シフォン:でも、変装して意味あるの?
ユレス:だから、ヴェルナの傭兵になりすまして潜入するんだよ。傭兵って、何か識別があるんだろ?
GM:鎧の肩当てにヴェルナの”V”っていう紋章をいれる。
一同:かっこわるっ!!
シフォン:鎧が汚れるのは嫌だなぁ……。
ハドソン:鎧がないとまずいだろうか?
GM:傭兵は普通着てると思うぞ。

結局、レリィナと瑞子以外紋章をいれた。

ハドソン:これで、どこからどう見ても俺は傭兵だ!
GM:(平服にナイフって、どっちかってゆーと傭兵っていうよりスラムのチンピラっぽいんだけど……)えっと、6日かけてアルディファスに着きました。いかにも堅固そうな城と、周りにたくさんの天幕、遥か向こうにユリウス軍の煙が見える。
ゼフィ:こーゆーのはどうだろう?王女二人を馬車に乗せて、周りを俺達で護衛っぽく固めて……。
瑞子:そうそう、「訪問」って感じにして城に入らぬか?
GM:(あ、そう来るか。本当はダンジョン系潜入セッションのつもりだったんだけどな……)
ユレス:あの、ファーロンって人、選択を間違えたな。俺達、普通の一般的な冒険者じゃないのに。
GM:馬鹿な男だったんだよ。(=GM。自爆)
瑞子:ハドソンは、−8なのに護衛っておかしくない?
ユレス:あ、しまった。盲点だったなぁ……。
シフォン:袋にでも入れて、隠す?
ゼフィ:じゃぁさ、へこへこしてついてきて、「奴隷」っていうのはどうかな?
ユレス:奴隷!!奴隷でいいじゃないか。それでも、身分レベルは本来より上だし。……手錠か何かないかな?(←うれしそう)
ハドソン:え〜〜……(←不満そう)

奴隷の基本的な身分LVは−5。ハドソンよりも3高かったりする。

GM:で、幕営地から千歩ぐらいのところに来ると、向こうから一騎やってきます。
ユレス:なにかね?
GM/騎士:「何だお前達は?」
シフォン:ユリウスの皇女が来訪されたのだ。
GM/騎士:「ええっ!?ち……ちょっと待っていてくれ」と言って、行ってしまった。しばらくすると、別の一騎がやってくる。
GM/百騎長:「何の御用でしょうか?先触れの軍使も何もありませんでしたが……」
ユレス:ほぉ……。
ゼフィ:アース=ディニング卿はおるか?
GM/百騎長:「おります」……っていっても、この場合いなくても”いる”って答えるだろうけど。
ユレス:そこをどきなさい。我が馬車には、ユリウスの皇女が乗っておられる。
GM/百騎長:「どけませぬな」
シフォン:もし本当だった場合、あなたの首が飛びますよ?
GM/百騎長:「軍規に従っての行動ゆえ、そんなことはありますまい」
ユレス:緊急の用件です。そこをどきなさい。
GM/百騎長:「しばらくお待ちください」って言って、今度は千騎長がやってきました。後ろに百人ほどの兵も連れています。
ユレス:よかった。クロスボウが飛んでくるかと思った。
GM/千騎長:(あ、自覚はあったんだ)「私は……」
ヘクター:いいから、そこをどけ!
GM/千騎長:「私はザルド伯領軍の軍団長……」
ユレス:だれもお前の名前なんか聞いていない。そこをどけ!
GM:相手は伯爵だぞ!
GM/伯爵:「私は、ユリウスの帝宮に出入りしたことがあり、皇女殿下の御尊顔を拝見したこともある。失礼だがご本人の御顔をお見せ願えぬか?」
ユレス:皇女殿下。
レリィナ:ん?なぁに〜?
GM/伯爵:「こ、これはっ!し、失礼しました!」
レリィナ:なぁに〜?止まってないで、早く行こうよぉ〜。
GM/伯爵:「どうぞ、こちらへ……」と言って、幕営地に向かいます。
ユレス:城の警備は甘いと言わざるを得んな。後で報告しよう(笑
GM:城の前に来ると、「ここからは歩いて頂きたい。あと、護衛は一人だけでお願いいたします」って言われるけど?
シフォン:じゃあ、私は傭兵達をからかってるから、だれか行って来てよ。
ユレス:やめておけ。ただでさえ怪しまれているんだから……。
シフォン:じゃあ、つまんないな……。やっぱり護衛で行く。
GM:シフォンの護衛でしばらく城内を進むと、伯爵が振り返って、「ここからは護衛を外してもらおう」だって。
シフォン:え〜……嫌だよ。
GM/伯爵:「では、武器を預からせてもらおう」
ゼフィ:じゃあ、おれは……
GM:お前はこの場所にいないだろう?
ユレス:いや、シフォンの他に非武装の従者としてヘクターとゼフィを行かせた。
GM:あ、そうなんだ。武器は持っていないんだな?
ゼフィ:あ、そうだなぁ……グラディウスを一本隠し持っていようかな?
ユレス:いや、やばいからやめておけ。
シフォン:渡せって言われても、強情に渡さないよ。
GM:千騎長が剣のつかに手をかける。周りの兵士もそれに従って、さらに何人かの兵が来てシフォンを取り囲むが……?
レリィナ:なに〜?ケンカ〜?やれやれぇ〜〜。(←無責任)
シフォン:ははは……両手をあげる。(汗)
GM:騎士がシャムシールを取り上げる。
シフォン:後で返してね〜……。
ユレス:番号札もらっておけ。
レリィナ:ホテルじゃないんだから……。(笑
GM:レリィナはそれから大きな部屋に通されました。シフォン、ヘクター、ゼフィはその手前の小部屋で待つように言われる。
レリィナ:久しぶりにこーゆー所に帰ってきたなぁ……。
ゼフィ:で、もしかして俺達の部屋にはガスがプシューッと?
GM:(「まだ」、それはないよ)では、次に城外の三人。馬車を兵士に言われた所に止めると、わらわらと10人ほどの騎士がやってきて馬車を取り囲む。
ユレス:なんだ?
GM/騎士:「馬車の中を調べさせてもらう」
ユレス:それは絶対ダメ。
瑞子:別にいいんじゃない?友人だし。
ユレス:いや、前もって言ってないというのがまずいんだ。

ヴェルナ軍の方は明らかにパーティーを疑っています。だって、先触れの使者もないし、供の者も正規の騎士じゃないし、しかも行方不明を噂されているレリィナ皇女。疑われて当然なような気もします。

GM:何を疑っているのかと言うと、「トロイの木馬」を気にしているんだ。
レリィナ:ああ、馬車だしね。
GM:兵は馬車に入らないとしても、工作員とか火をつける物があるとかね。
ユレス:とにかく、中を調べるならば皇女の許可がいるぞ。
GM/騎士:少しユレスを見つめて、「お前、本当にユリウスの使いか?」
ユレス:ああ、もちろんだ。(即答)
ハドソン:面の皮が厚い……。
ヘクター:なんで、騎士はそんなに偉そうなの?
GM:だって、今は皇女がいないからね。人間、そんなものさ。
GM/騎士:「嘘をつくんじゃない」
ユレス:嘘はついていないな。
GM/騎士:「じゃあ、お前ユリウス語を話せるか?」
ユレス:いや、わたしはクラティエで雇われたのでな。
GM/騎士:「だいたい、レリィナ皇女は国を出奔したはず。公的な軍使として現れるはずがない」
ユレス:さぁ、わたしにはわからない話だ。レリィナ皇女が行けとおっしゃったのだからな。
GM/騎士:らちがあかない話に血を上らせた騎士が、ユレスの襟首をつかんで地面にたたきつけて、強引に馬車の中に入っていく。
ユレス:貴様ぁ……。
GM/騎士:「調べろ1!」
レリィナ:そうすると、中にはオカルトグッズがいっぱいある。
一同:(爆笑)
GM/騎士:「む?女!お前は何者だ!?」
瑞子:レリィナ様のお友達。
GM/騎士:「名は?」
ユレス:俺はこの騎士の名前が知りたい。(ぼそ)
ハドソン:俺は無視されているわけだな。
ユレス:ひとまず立ち上がって、もう一回騎士に話しかけよう。
GM/騎士:「お前は黙っていろ!!」って言って蹴り倒す。
ユレス:うざいなぁ!刺してやろうか!?(激怒)
GM/騎士:「ひとまず来てもらおう」って言って、瑞子を連行しようとする。ユレスはその場で二人がかりで押さえつけられている。
ハドソン:俺は?
GM/騎士:蹴り倒す。
ハドソン:学者なんですけどぉ……。
レリィナ:まぁ、今はがまんして、あとでわたしに言いつけなさい。
ユレス:ハドソン。お前のその高い知力を生かして、この10人全ての顔を覚えておけ。後で全員殺す。
GM:殺す……のか?
ユレス:だまして潜入したのならちょっとは仕方ないと思うけど、こっちは本当のこと言ってるんだからな。
GM/騎士:「女、馬車から降りてもらう」
瑞子:あまり手荒なことをすると、レリィナ様に言いつけますわよ。
GM:……ということをしていると、いきなり騎士10人が頭を抑えてクラリと倒れた。
ユレス:おや?……わざと倒れて、「こいつが抵抗したんだっ!」っていうパターンかな?
GM:どうも深く眠っているようです。倒れても起きないぐらい。で、スーーーっと女が一人音もなく駆け寄って、「殿下、こちらへ」って。
瑞子:え?
GM:何となく妖狐とわかる。「稲武の手の者です」
瑞子:ああ、わらわの国の隠密の人じゃ。
ユレス:あの〜、もしよろしければわたしも助けていただきたいんですが……。
ハドソン:俺も……。
GM:もちろん、君たちの縄もパッパッと切ってくれる。
ユレス:さっきの騎士を蹴る!蹴る!
シフォン:深爪で切るとか……。
ユレス:それ、いいね。歯も全部折ろう。
GM:すぐ移動するから、そんな暇ないぞ。
レリィナ:じゃあ、去り際に踏んでいったら?
ユレス:そうしよう。稲葉の白兎を見習って、騎士を順番に踏んでいく。(笑
GM/妖狐:君たちを、兵からの死角に連れ込んで、「殿下、ご無理が過ぎます。クラティエにいる妖狐から連絡を受け、城の中に侵入して密かに見守っておりました。お仲間も無事でございます。東宮殿下(瑞子の長兄)や文摩宮殿下(同じく次兄)へ差し障りもあるので、手を出さぬつもりでしたが……。いったい何がなさりたいのですか?」
瑞子:いや、冒険者……。ところで、名前は?
GM/妖狐:「申し遅れました。隠密寮北ヴェルナ局、アルディファス探索方、安仁政視(あにまさみ)と申します」
ユレス:
……探索方……。この人、もしかして城主の在不在ぐらい知ってるんじゃない?
GM:……あ…………。

轟沈。GM、狐好きなのでどうしても妖狐のキャラを出したかったのですが、まさかこういうことになろうとは……。

瑞子:あ、そうかも。アース=ディニングって、今、この城にいる?
GM/政視:「おりません。今はラヴィニアに招喚されたはずです」
ユレス:おお、簡単に終わってしまったなぁ……。
GM:(泣)

GM:じゃあ、城内の方に戻そう。かなり待ちましたが全然人が来ません。
レリィナ:じゃあ、ドアをドンドン叩きながら、「だせぇ〜〜!!早く呼んでこぉ〜い!!」って叫ぶ。
ゼフィ:仕方ないから窓から景色を眺めていようかな。
GM:じゃあ、気配感知してくれ。
ゼフィ:は?気配感知?(いっころ)成功。
GM:じゃあ、庭に何人かの気配を感じる。姿は見えないけどね。
ゼフィ:気配で丸見えですよ〜〜。もう少し上手に隠れましょ〜。って叫ぶ。(笑)
シフォン:本当に暇だなぁ……。部屋の外に出てみよう。
GM:外には、騎士がドアの脇に2人立っていました。「何してる。部屋の中で待っておれ」って追い返される。
シフォン:くそ〜。暇ぁ〜〜!!
GM:そうこうしていると、伯爵が来て、「今は忙しい故、後ほど連絡されるそうだ」
レリィナ:さんざん待たしてこれ!?……まぁいいや、馬車に帰ろう。
GM:帰ると、寝ている騎士10人が転がっている。ユレス達もいない。(笑)
レリィナ:ぎょ〜しゃ〜〜!!
ユレス:あ、呼んでる。行こう行こう。
GM:天幕のあたりからみんなが出てくる。
瑞子:じゃあ、帰ろうよ。政視ちゃん、元気でね〜。
GM/政視:「はい、殿下もお元気で……」って去っていく。
GM:で、帰った君たちは後金をもらいました。任務成功です。(苦笑)

GMヨタ話

もう出てくることはないだろうから言っちゃうけど、このファーロン百騎長は公安総局に潜入していたガイウスの近衛騎士団情報部のスパイです。本名はローヴ=フォン=ファーレンハイト騎士伍長。アース=ディニングの居場所をつかむためにパーティーを利用しましたが、この動きがきっかけとなって、翌月の10日、彼はクラティエのスラム街で死体となって発見されることになります。それにしても、妖狐を出したのは失敗だった。もう少し潜入捜査をしてもらうはずだったのだが……。まぁ、済んでしまったことだ……。つぎは、どんな仕事が良いかな……?いくつか仕事を提示して選んでもらうからいくつか用意しないとな。ギャグでこんなのを入れてみるのも良いかもしれない。んで、本命はこっち……と。

プロローグ

第一章:取り敢えず冒険してみる

InterMisson

第三章:ロシュフォール商会本店前ひき逃げ事件

第四章:逃亡の後に……

Intermisson 2

第五章:第12回迷宮探検競技大会

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