の授業

  
         忘 れ も の  
 
                       高 田 敏 子
 

       入道雲に のって
       夏休みは いってしまった
       「サヨナラ」のかわりに
       すばらしい 夕立を ふりまいて

       けさ 空は まっさお
       木々の葉の 一枚一枚が
       あたらしい光とあいさつを かわしている

       だが キミ! 夏休みよ
       もう一度 もどってこないかな
       忘れものを とりにさ

       迷子の セミ
       さびしそうな 麦わら帽子
       それから ぼくの耳に
       くっついて 離れない
       波の音


       入道雲に乗って、大空を散歩する。気持ちいいでしょうね。
       肩車をしてもらった時の気持ちと似ているかもしれません。
       目線が高く、見下ろしたようになります。いつもの風景とは
       違うのです。ゆったりとして、見晴らしがよくて、なんとも気
       持ちのいいものです。9月1日、始業式の日、子ども達は、
       朝、新しい光とあいさつを交わしたことでしょう。楽しい夏休
       みを過ごして、満足した子ども達の姿が、目に浮かんでき
       ます。時々、夏休みに出会ったもの達が、頭の中を通り過
       ぎるのではないでしょうか。『もう一度 もどってこないかな
       わすれものをとりにさ』と作者は、呼びかけます。『わすれも
       の』をすると、叱られますが、・・・・。夏休みが、忘れ物をと
       りにもどってくるなんて、なんて、楽しいんでしょう。
       



           



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