の授業

  
         竹 の よ う に
 
                       竹 中   郁
 

     
       のびろ のびろ
       まっすぐ のびろ
       子どもたちよ
       竹のように のびろ

       風をうけて さらさらとなれよ
       日をうけて きらきらと光れよ
       雨をうけたら じっとしてろ
       雪がつもれば いっそうこらえろ

       石をなげつけられたら
       かちんと ひびけ
    
       ぐんぐん 根を張れ
       土の中で その手と その手を
       かんじがらめに 握りあえ
       竹 竹 竹 竹のように
       のびろ
       五月のみどりよ もえあがれ



      竹林に入ると静かで張りつめた空気を感じます。そして、上空を風が
      吹くと、葉のざわめきがここち良く響いてきます。作者は点に向かって
      まっすぐにのびる竹に、子ども達の成長を重ねます。大人達は、自分
      達の都合で子どもの生活をねじまげようとする。テレビからもパソコン
      からも携帯電話からも、子ども達の邪魔をするものが、溢れかえって
      います。負けるな、子ども達よ。仲間と手を握り合い、邪魔者を蹴散ら
      してしまえ。そして、竹のようにのびてほしい。作者の強い願いが、読
      み手に伝わってきます。竹のようにのびる子ども達のために私達は何
      ができるのか。大人たちは、何をしなければならないのか。たくさんの
      命が生まれ、成長する今、作者は、『五月のみどりよ もえあがれ』と
      子ども達にエールを送ります。子ども達の歓声が溢れる運動場を眺め
      ながら、この詩を呟いています。




    



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