詩の授業
支 度
黒 田 三 郎
何の匂いでしょう
これは
これは
春の匂い
真新しい着地（きじ）の匂い
真新しい革の匂い
新しいものの
新しい匂い
匂いの中に
希望も
夢も
幸福も
うっとりと
浮かんでいるようです
ごったがえす
人いきれのなかで
だけどちょっぴり
気がかりです
心の支度は
どうでしょう
もうできましたか
新しい命が生まれる、春。心がうきうきしてきます。野原も町もにぎやか
で、輝いています。風に運ばれてきたかすかな匂いは、何かしら新鮮さ
を感じさせます。入学式を楽しみにしている、ピカピカの１年生候補。今
頃は、何回もランドセルを背負い、『行ってきます』、『おはようございま
す』などと、挨拶の練習をしているのかなあ？新入生だけではなく、在校
生も新しい学年を迎えます。新しい希望や夢を心の中に描いていること
でしょう。『ごったがえす 人いきれの中で』、作者は、子ども達を心配して
います。沢山の人達の思いが渦巻く中で、自分の道を見失わず、しっかり
歩いていけるだろうかと・・・・・・・・。『春を迎える準備はできましたか？』、
服も持ち物も準備ができた。一番大事な『心の準備』は、できましたか。
（１）
（２）