詩の授業

         　　　
　　　　　　　　　　　白　い　建　物
 　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　村　野　四　郎
　
　　　　　　　高くゆれるコスモスの
　　　　　　　白や赤の花のあちらに
　　　　　　　できたばかりの
　　　　　　　大きな　白い建物が見える

　　　　　　　あすこは
　　　　　　　ことしの　暑い夏じゅう
　　　　　　　鉄骨が組まれ
　　　　　　　火花が飛び散り
　　　　　　　はだかになった人たちが
　　　　　　　目がくらみそうな空の中で
　　　　　　　あせを流して　働いていたが
　　　　　　　
　　　　　　　きょうは　もうだれもいない
　　　　　　　あの人たちは　どこへ行ったのか？
　　　　　　　すずしい秋風の中で
　　　　　　　ゆめのように　美しく
　　　　　　　建物だけが　光っている


　　　　　　　コスモスのむこうに美しい白い建物が見えます。夏の間、
　　　　　　　たくさんの人達が汗を流して働いていました。できあがっ
　　　　　　　てみると、美しい建物だけが見えますが、たくさんの人達
　　　　　　　の汗と多くの時間が必要でした。何かを作り上げる時、苦
　　　　　　　労があり、努力があり、そして、喜びがある。『頑張った分
　　　　　　　だけ、良いことがある。』と、いつも思います。鉛筆も多くの
　　　　　　　人の手によって作られます。木を切る人、芯をつくる人、鉛
　　　　　　　筆工場で働く人、じつにたくさんの人達のよって作られてい
　　　　　　　ます。種を蒔き、水をやり、草をぬき、せっせと世話をした花
　　　　　　　が咲くと、喜びもひとしおでしょう。今、相賀小学校の新校舎
　　　　　　　の工事が行われています。基礎の部分が完成し、いよいよ、
　　　　　　　外壁の工事にかかります。新校舎建築の初めからの目撃
　　　　　　　者になれるとは、なんと、幸せなことでしょう。
　　　　　　　
　　　　　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　ページのトップへ　　詩の授業へ