の授業


         に ぎ り こ ぶ し  
                  
 
                         村 野 四 郎

     
      悲しいときや苦しいとき
      ぼくはいつも
      こぶしをかたくにぎりしめる
      すると、苦しみや悲しみは、
      みんな ぼくからにげてゆく。

      勉強で泣きたくなったとき、
      ぼくはぐっと
      こぶしをにぎりしめる
      すると、本の字が、はっきり見えてくる。

      また、北風がビュービューふいて
      ぼくをいじめるとき、
      ぼくはむねをはり、
      ぐっと、こぶしをにぎりしめる。
      すると、風のやつ、
      急に道ばたににげ帰り
      えだを、がさがさ ○○○そうに
      ゆすっているんだ。


   
   自分の思うようにならないことが、いっぱいあります。悲しみや
      苦しみは、その延長線上にあるのでしょう。この詩は、気持ちが
      大事だと語りかけています。でも、困難に立ち向かう強い気持ち
      の背景に一体何があるのでしょうか。子ども達が、『こぶしをにぎ
      りしめる』ためには、自分に自信を持つ事が大事です。こぶしを
      にぎりしめながら考えています。ぐっとこらえて、問題のありかを
      見つけ、次の行動を選択しているのでしょう。胸を張った毅然とし
      た姿が、北風を追い返しています。作者は、そばでじっと状況を
      見つめながら、困難に立ち向かう子どもを支えています。子ども
      にとって、自分の力を出し切って頑張るためには、周りの状況が
      大事です。子ども達に『にぎりこぶし』を作らせるのは、私達大人
      です。
      
      
     
       



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