詩の授業
な だ れ
井 伏 鱒 二
峰の雪が裂け
雪がなだれる
そのなだれに
熊が乗ってゐる
あぐらをかき
安閑と莨をすうような格好で
そこに一ぴき熊がゐる
熊は、雪崩に乗りのいったのでしょうか。それとも、たまたま
巻き込まれたのでしょうか。どちらにしても、この熊は悠々と
したものです。雪崩を怖がり、大騒ぎする木々や動物達を見
物しています。熊の目には、どんな光景が映っているのでし
ょうね。『ああでもない。こおうでもない。』と勝手に憶測をする
傍観者どもをせせら笑いながら、貴方も乗ってみたらなんて思
っているのかもしれません。作者の詩は、情景豊かです。白一
色の世界にぽつんと黒い点を描きました。まるで、水墨画の世
界です。よくよく見れば、なんと、熊だよ。のんきそうに雪崩に
乗っているじゃないか。『あんたもどうだい。乗ってみないかい。』
と声をかけられているよな気がします。
発問その1
熊は、何を見ていますか。
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