の授業

  
         コ ス モ ス  
 
                       佐 藤 義 美
 

       みんなで みどりの 手をくんで
       台風と たたかって
       花を 高く まもりました。

       青い空だけかと 思ったら
       遠い山も しずんでいました。
       白と赤の花の中。

       列車をひいて 駅についた
       電気機関車を
       コスモスが さわっています。


       「まいごの まいごの こねこちゃん あなたの おうちは
       どこですか」という童謡を作詞した人です。大正デモクラ
       シーの時代が、作者の青春時代でした。その影響が、こ
       の詩にも感じられます。第1連、強い風に抵抗して、皆で
       花を守った。「高く まもった」という表現には、花の位置
       だけはなく、気高く、意気高らかにという気持ちを感じま
       す。第2連、青、緑、赤、白、四つの色がはっきりと区別
       されながら、1つの風景として溶け合っています。コスモ
       スだけが目立つのではなく、周りの風景と調和して存在
       しています。第3連、「貴方は、何者?どこから来たの?」
       と好奇心いっぱいで、見慣れぬもの、新しいものへの興
       味をあらわしています。鉄でできた機関車とコスモスの対
       比が、不思議な情景を作り出しています。目の前には、
       きっとたくさんのコスモスが咲いているのでしょう。その1
       本一本が、自分を「高く」持ち、向上心を失わずにいるコ
       スモス達です。
      

           



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