詩の授業
六 月
茨 城 の り こ
どこかに美しい村はないか
一日の仕事の終わりには一杯の黒麦酒
鍬を立てかけ 籠を置き
男も女も大きなジョッキをかたむける
どこかに美しい街はないか
食べられる実をつけた街路樹が
どこまでも続き すみれいろした夕暮れは
若者のやさしいさざめきで満ち満ちる
どこかに美しい人と人との力はないか
同じ時代をともに生きる
したしさとおかしさとそうして怒りが
鋭い力になって たちあらわれる
現実には存在しない村や街、そして、人との結びつきを追い求め
ています。『どこかに・・・・・・・・・ないか』、この地上に、日本に、実
現することを夢見つつ、強く願っています。この詩は、空想の詩、
あこがれの詩、願いの詩といえます。しかし、現実は、そう甘くはな
い。大事なことは、人間の空想やあこがれや実現しそうもないよう
な願いが、現実を変えてきたということです。生活をより便利にする
科学技術を発展させ、新しい道具を生み出してきた。人間の途方も
ない夢が歴史を変え、進歩を作り出してきました。子ども達が、自由
に発想し、美しいものにあこがれ、仲間との楽しい時間を過ごす。そ
んな環境をつくってやりたい。大人も子どもも、同じ時代をともに生き
ています。私達は、子ども達が笑顔を絶やさない、そんな理想の世界
を求め続けていきたいと思います。
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