<船玉神社>

 音無川のずっと上流、熊野古道・中辺路の猪鼻王子(いのはなおうじ)近くに船玉(ふなたま)神社という船の神様を祭った神社があります。
 
 昔、玉滝という滝があって、その滝つぼで神様が行水をしていると、急に大雨となった。折しも滝つぼに浮かんでいた一匹の蜘蛛がその大雨に溺死しそうになった。それを神様が見て、榊(サカキ)の葉を投げてやった(カシの葉であったという話も)。蜘蛛はその葉に乗って、手足を使って船を漕ぐようにして無事に岸にたどり着いた。
 その様子を神様が見て、船というものを思い付き、楠をくりぬいて丸木船を造った。これが最初の船であった。
 船玉神社は本宮大社の奥の院にあたるとも伝えられています。