<伏拝王子社跡>

 この王子は、上皇等が往来した参詣記にはその名がみえず、「九十九王子記」(1474)
に記す和泉式部供養塔とともに『伏拝村外れの道の左側にある』というのが初出という。
丘は南に開け、遠く南西方向の谷間に本宮本社の旧社地『大斎原』
(オオユノハラ)を望む
ことができる。昔、中辺路の難路を難行苦行しながらこの地に到着した人々が、遠く熊野
川と音無・谷田川の合流点にある熊野坐社
(本宮大社)を望みみて、感動しながら伏し拝ん
だことからこの名がついたという。藤原定家も『感涙禁じ難し』と記している。古くからの本
宮遙拝所である。