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・世界地図

 この地図は北の大陸のユナスダインの帝国魔術大学院が公開している「世界総覧全図」を基にした。これは古代ユリアネス朝時代の遺跡から発見された北の大陸の地図に現在の国境線を当てはめ、さらにヴェルナを経由してもたらされた南の大陸の情報を合わせて挿入して作られたものである。北の大陸の海岸線や地形に関しては極めて正確でユリアネス朝の魔導の力とその強大な権勢を窺い知る事が出来る。ただし、ユリアネス朝の権威が及ばなかった東部辺境や南の大陸に関しては不正確さを免れていない。また、神の爪痕に関してはユリアネス朝時代の地図に記載が無かったために、大体の位置を書き込んだに過ぎない。

南北に二つ、いずれも東西に長い大陸がある。(どちらも長く接触が無かったため、名前は無い。接触開始初期は互いが接するヴェルナ公国とユリウス連合王国の名前をそれぞれ大陸名と誤認して「ヴェルナ大陸」「ユリウス大陸」と呼んでいたが、今では「北の大陸」「南の大陸」と単純に呼ばれている。名称を設定しようという動きもあったが、各国が自分に都合の良いような名称を主張しあい、決着していない)

この世界設定は主に、北の大陸を中心とし、北の大陸の主観で世界観を描いている。南北両大陸に過去、如何なる接触があったのか、そもそも、どちらの大陸に先に人類がいたのか、等は全く不明である。


・北の大陸

辺が確定しているのは南だけである。基本的に北へ行くほど寒冷で、南へ行くほど温暖である。が南辺にあたる海岸線地方もさして熱帯と言うわけではない。総人口は3億人〜10億人くらいであると見られている。(各国が正確な人口を把握していないか、または、他国に正確な人口を教えないために計測は人によって大きくずれる)

・海・湖・沼沢

大洋

名前は無い。何故なら海というとこれ一つしかないからだ。南北大陸を隔てる大海。

古都の湖

大陸の中央部やや西よりにある巨大な湖。古代魔導王朝の王都が滅び、その跡に出来たとも言われているが定かではない。ただ、その伝説から「古都の湖(うみ)」という名が付き、湖底からは不思議な品々が見つかったり、半ば湖に没した都市遺跡なども存在するなど、人々に強く伝説を信じ込ませる材料にも事欠かない。湖岸部には水利と伝説の両方の理由から多くの都市が栄えており、大小無数の国がこの湖に接している。そのために、この湖は「国家不干渉の公海」とされ、海戦・水戦の類は長くこの湖上では行われていない。

・山脈

ローヴ山嶺

北の大陸の西北に南北に連なる大山脈。人跡未踏であり、北辺は誰も確認していない。ティルトロイツェンとコルカントを隔てている。

クエルビナ山脈

古都の湖の北に横たわる山脈。ローヴ山嶺が南で二つに分かれて東西に広がった山脈。やや、標高は低くなったが、それでも、踏破は容易ではなく、細い桟道以上の道は付けれない。古都の湖の北に横たわり、古都の湖北岸のホルンの盟約諸国をティルトロイツェンとコルト人から守ってきた。

シュトロフォルン山脈

大陸東北部にあり、コルカントとギーツェンの境を成している。北辺を確認したものがいないのはローヴ山嶺と同じだが、標高はローヴ山嶺に比すると大分低い。荒涼として草木や動物も少ないが、踏破にはさほど苦労するものではない。

ミューレイ山脈

ルーンバルトとユナスダインの国境を成し、ヴェルナの北辺とラヴナリー・クローヴィスの南辺に接する小山脈。騎馬での踏破も可能だが、それでも頂上付近は万年雪をかぶり、大規模な輸送には支障が多いために、ここを越えた軍旅はかつて無い。山麓部、特にルーンバルト側は豊かな森林が広がり、人々に恵みをもたらしてきた。

・河川

フュロタウ河

古都の湖からユークナ王国の聖都ティエルフィヌスを通って、同国の港湾都市バルスティヌスに流れ込む川幅では北の大陸最大の大河。古くから海と古都の湖を繋ぐ水路として栄えてきた。

バウロ川

シュトロフォルン山脈の山麓に源流を持つ大河。ギーツェン王都を通り、シェルガーム神聖騎士団領とラヴナリー・クローヴィスの境を形成して大洋に注ぐ。荒涼とした大地が広がるギーツェンでは宝の様な水源であり、同国の食糧生産はほぼこの川の沿岸地帯に限られる。一方、ラヴナリー・クローヴィスの人間にとっては、妖魔との果てしなき戦いが続くシェルガームとの境とあって、三途の川の様なイメージを持たれている。「バウロ川を越える」とは敢えて危地に飛び込むことや未知の地へ行く不安の喩えとしてラヴナリー・クローヴィスでは用いられている。

ルオール川

ミューレイ山脈から流れ出でるヴェルナ=ユナスダイン国境を形成する川。両国の軍事的緊張関係を反映し、流血の小競り合いが絶えず、また、過去には三度もの大会戦の舞台となった。そのため、別名「紅の川」とも呼ばれる。

ヴェルナリア川

ミューレイ山脈から南にほぼ真っ直ぐ流れて、ヴェルナ公都クラティエを河口とする川。名前の由来は無論、ヴェルナから。清らかで豊富、水路としても十分な深さを持ったこの川の河口であったことが新都市建設地に選ばれた理由の一つであった。今でも、「絶えるなき栄華」の比喩としてヴェルナ人によく用いられる。

・街道・航路

水晶の道

ユリウスの連合王都ライグ・トーンからヴェルナのクラティエを通り、ルーンバルトのラントハイム・カッセリアを通って、ラヴナリー・クローディスに抜け、ユナスダインの北部とコルカントを縫うように走り、フレイト=ルニア国都を経てティルトロイツェンの都まで北の大陸を横断する街道。主に南の大陸でしか取れない水晶(クリスタル。地球の水晶と同じ物ではない。観賞用のみならず、様々な魔術に於いて重要な媒体となる)を運ぶ道として発達したのでこう呼ぶ。ユナスダインの沿岸部を通らないのは、ヴェルナ商人が対立する事の多いユナスダインを潤すことを嫌ったためだと言われている。そのため、この街道はコルト人とユナスダインの大きな対立点の一つとなっている。

湖北街道・湖南街道

フレイト=ルニア国都からの水晶の道は、二つに分岐する。古都の湖の北岸を廻る方と南岸を廻る方である。北岸を廻る道を湖北街道、南を湖南街道と呼ぶ。湖南街道は神聖B王国を通るルートであるが、ユークナが宗教国であって商人や商売を蔑視する傾向にあり、さらに、湖南諸国が分裂して不安定な状態にもあり、なおかつフレイト=ルニア-ユークナ間の軍事緊張というデメリットもあることから商人や旅人から敬遠されがちである。そのため、湖北街道を通ってティルトロイツェンに向かう道のりがより一般的である。このことは湖北諸国の経済発展と文化の共有を促進し、一方、湖南諸国の弱体化に拍車を掛けることとなり、ホルンの盟約諸国と湖南諸国の差を益々広げている。

ユリウス航路

これは勿論、北の呼び方で南から言うと「ヴェルナ航路」である。ヴェルナのクラティエからヴェルナ領オアシス諸島を経由してユリウス領北端のエラムスに着く、神の爪痕とオーリの大渦の影響による航海不能地帯を縫うような航路である。この航路をヴェルナ人商人ユリア・クラティスが発見したことが後のヴェルナ公国建国に繋がった。ユリウスが海軍力にさほど力を入れていない(入れられない)ため、航路の制海権はヴェルナが掌握している。

・特殊地形

神の爪痕

全てが闇に包まれた巨大な神秘地形である。確認されたものは三本。大地もしくは海に深々と掘り込まれた亀裂が遥か地平の向こうまで続いている。底は確認できないほど深く、幅は次第に東から西に広がって行くが、概ね小国が一つ丸ごと入るほどである。東端の出発点から広く深く徐々に広がっていくので東端から西へ入っていけば、底に辿り着けるはずであり、事実、その通りに探検に出た者は数知れないが一人として帰還したものはいない。海中にある二本には轟々と滝となって海水が底へ落ち、立ち上る水煙で上空遥まで煙るほどである。が、それだけ莫大な海水が流れ込んでいるにも関わらず、爪痕から船で三日も離れればその海水の流れを全く感じなくなり、潮は爪痕とは関係の無い方向に流れている。この謎に対しては「爪痕の付近に巨大な湧水帯」があって、狭い範囲で海水が循環しているからだという説が提示され、公認となっているが、確かな証拠は何も見つかっていない。生成も状況も何もかもが謎に包まれている。ただ、確かなことは特に東に長く伸びている一本の「爪痕」のために長く南北両大陸の接触が絶えていたという事実のみである。

オーリの大渦

これも謎の多い物ではあるが、少なくとも生成由来ははっきりしている(と言われている)。かつて記録の失われた古代に存在した「オーリ」という偉大な魔術師がこの地で超魔術の実験を行い、ためにこの大渦が生まれたと言うのである。シェルガームの南西沖遥かの地点で半径は通常の船行程で二日かかるとされる距離の大きな渦が激しく巻き起こっている。この渦に引き込まれかけて助かったものはいるが、完全に引き込まれて助かったものはいない。一説によれば、渦の中心では大魔術氏オーリが今も魔術の実験を続けており、そのために渦は今も激しく渦巻いているのだと言う……。

妖魔帯

シェルガーム騎士団領の東には妖魔が多数生息しており、西、人間の生息地帯への侵入を日夜試みている。この妖魔の動きは、今から400年以上前、この地に人間が進出するのと相前後して見られるようになった。シェルガーム神聖騎士団領が妖魔帯と人間世界の間にもう一本の帯となって割って入ってからはその西進は留められている。


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