JALグループ機内誌
 SKYWARD July 2009
「味覚人飛行物体」ことコイズミ先生の美味しもの諸国漫遊記 
第4回/滋賀 
〜香しき 近江の鮒鮓〜 文・小泉武夫
 


…「熟鮓」は 食の文化遺産…
数ある日本の発酵食品のなかで、歴史と伝統、風格と気品、比類なき美味しさと
香しさを持ち備えた逸品といえば、それは近江の「鮒鮓」であろう。
単なる食べものという領域を超えて、昔の近江の人たちの尊い知恵や工夫が
鮒鮓には凝縮されていて、文化遺産的価値をも内蔵している優れた嗜好物であるからだ。
今回は、その憧れの発酵食品を「味覚人飛行物体」または「発酵仮面」と渾名される
我輩が訪ねるのだから、たまりません。近江(滋賀県)に行く車中からもう涎がピュルピュルと 
湧き出す有様である。


「すし」には2種類あって、これから訪ねる鮒鮓(ふなずし)のように魚と飯(いい)
何ヶ月も発酵して保存性を効かせた「熟鮓」
(なれずし)と、
関西の箱鮨
(はこずし)や江戸前鮨のように魚介類を
酢飯と共に箱に押したり握った「早鮨」
(はやずし)がある。
その歴史は圧倒的に熟鮓が古く、奈良時代以前からから食べられていた。
その古さを物語るかのように、滋賀県内の神社には
神前に熟鮓を供える慣わしが多く残っており、
景行天皇(西暦100年代)に縁起する栗東市の菌
(くさびら)神社では、
琵琶湖から上がってくる雑魚でつくった「ジャコ鮓」を
春の大祭に奉納する神事が、今に伝えられている。

鮒、米、塩。吟味を重ねた独自の味わい




 (掲載の一部を掲載させて頂きました)



滋賀県伊香郡余呉町川並1408
Tel  0749-86-4045