※『小説現代』2004年3月20日発売
                   (2月26日取材)

〜怒涛の怪食コンビ! 小泉武夫vs西原理恵子「畏敬の食」〜

伝説の湖、滋賀余呉湖を訪ねた怪食コンビ。
熊、猪、熟鮓を堪能。



(掲載文より)  …兵どもの夢の跡そのものの賎ヶ岳古戦場。
その山の西南側には広大な琵琶湖が広がり、北側には伝説の湖・余呉湖が在る。
周囲約七キロメートルという小さな湖だが、神秘性を宿した幻の湖ともなっている。
この湖が別名「鏡湖」とも言われるのは、周りを山で囲まれた地形上から、その湖面は
いつも穏やかで、鏡の面(つら)のように平滑としており、その湖面には
鏡のように周りの山々が美しく映し出されるからである。
今から五年前まで、この湖の辺(ほとり)に「財団法人・日本発酵機構余呉研究所」という
公的な研究機関があって、俺はここの所長をしていた。
全国の大学にある発酵関係の研究施設とネットワーク化し、発酵食品や環境問題を
研究していたのである。理事長は元経済企画庁長官であった(故)高原先生で
俺は副理事長兼研究所長であった。この研究所の活動は、
ある意味では今日の「発酵の時代」を呼び込んだ一因に当たると思っている。…
      
…京都の老舗料理「河繁」で修行して
そこの料理人となり、しばらくして
余呉湖畔にあるプリンスホテル系の
旅荘の料理長として赴任。そして
2年前突如としてその職を辞して
熟鮓職人の道を歩みだした。
実はこれには俺の影響もあった。
発酵研究所の所長をしていた俺は…

「これからは発酵の時代よ。この近江の
食文化のひとつを支える熟鮓を
もっと発展させるためには
貴兄のような腕前を持った料理人の
プロがこれに挑戦して、
もっと多くの人が食べやすく、そして
安く手に入れられる鮓をつくってみるのも
これからの生甲斐かも知れないなあ」


…その浩明子分は、驚くべきことに小アユや
ワカサギで絶妙なる熟鮓をつくっていた。
見事だ!!
小アユはとても美麗に漬け込まれていて、
まさに芸術品そのもので、食べてしまうのも
惜しいほどである。
口に含んで噛むと、とてもシコシコとしていて、
よく発酵していたと見え、骨もすっかり軟化して
歯にも当たらない。口の中は、その小アユからの 
酸味と、ほどよい苦味、そして上品なうま味が
これまたチュルリチュルリと出てきて、
妙であった。…ワカサギの熟鮓も絶品で
これでもう子分は独り立ちできるなあと思った。
俺はいい子分を持ったものだ。…

    
   “先生に感謝”      取材の時に撮らせて頂いた写真
                                           (掲載文など一部を掲載させて頂きました)



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