文学の授業


白いぼうし(4ねん上) あまん きみこ 作 加藤 千香子 絵

(1)  授業の方向性

    4年生になって最初に学習する文学教材です。楽しく読みたいですね。子ども達は、
   行動範囲を拡げ、仲間も拡げ、外へ外へと意識も向かう時  期です。その元気を最
   大限に引き出しながら 、一方では、『ちょっと、まったあ!』と立ち止まらせ、
   振り向かせ、足元を確かめさせながら、前へ進めなければなりません。成長過程の
   中で最も重要な学年です。あまり理屈っぽくならないように、子ども達の自由な発
   想を大事にしながら、たくさんの話を引き出したいですね。

(2)  作品の特徴

@空想の世界を描いています。『アリエナーイ。』と言わないで、作品をそのまま受
け入れましょう。そして、言葉からイメージしたことをみんなで共有し交流します。

  A語り手が読者に登場人物言動をお話ししてくれます。読み手は、語り手の案内で事
件を追体験します。

  B会話文を読むとき、私たちは、実際にその場にいるような気持ちになります。この
物語では、会話文が大事な役割をしています。

  C場面は、車の中、外、中と変わります。事件の展開を3つの場面で分けるのも1つ
の読み方でしょう。

(3)考えられる発問と予想される展開

  @事件のはじまり 夏みかんのにおい

   「これは、レモンのにおいですか。」〜 ・・・・しんしはおりていきました。

  発問1 タクシーの中と外のにおいの違いを見つけましょう。

  発問2 松井さんの嬉しそうなようすがわかるところに線を引きましょう。

  発問3 いなかのおふくろが、夏みかんを速達で送ったのはなぜでしょう。

  発問4 タクシーの窓は、開いていますか。

      *白いワイシャツのそでを、うでまで・・・・・  開いている?

      *こんなにもにおう・・・・           しまってる?

      *開いているけど、こんなにもにおう・・・・・・ 開いている?

       文章の言葉から受ける印象を出し合おう。自分勝手な読みに注意!

  A事件の展開  白いぼうし

    アクセルを   ・・・・    〜    石でつばをおさえました。

  発問1  おまわりさんは、なぜ、じろじろみたのでしょうか。

  発問2  松井さんの優しさが、わかるところをさがしましょう。

  

  Bクライマックス  おかっぱのかわいい女の子

    車のもどると・・・・ 〜 ・・・・みるみる後ろに流れていきます。

  発問1 女の子は、ちょうちょである。○か×か?

      わけを考えて、ノートに書きましょう。

  発問2 車のエンジンをかけた時、あわてたのは誰ですか。

      わけを考えて、ノートに書きましょう。

  C結末   野原で飛び交うちょうちょたち

    「お母さんが、虫取りあみを・・・」  〜  においがのこっています。

  発問1 松井さんに聞こえたのは、だれの声ですか。

  発問2 車の窓は開いていますか。

  D全体を通して読む

  発問1 あなたは、松井さんのタクシーをどんな色にしますか。あなたの思ったことを
  書いてください。

  発問2 松井さんのやさしさが、よくわかるところをさがしましょう。最も強く感じる
  ところは、どこですか。

(4)授業から確かめられたこと

  @4年生になって最初の文学作品です。子ども達は、元気よく楽しく思いを語ってくれ
 ます。気を付けなければならないのは、文章から離れ、『もんしろちょう、見たよ。』、
『捕まえたこと、あるよ。』など、自分勝手な思いを話すことを避ける。自分勝手読み
をさせないようにしました。

  A発問の選択は、子どもの実態を考えなければなりません。優れた発問も、子ども達の準
 備ができていないと効果がありません。

  B発問は、文章を再度検討するためのものです。何回も文章を読みたくなるような発問を
したいですね。

  Cクライマックスが特定しにくい物語です。クライマックスを最も緊張しドキドキする場
面と考えると、子どもが母親の手を引っ張って来た時です。客席の女の子が、後ろから乗
り出して、せかせかと言いました、その時の状況を考えると、ここがクライマックスでし
ょうか。

  D松井さんには聞こえませんでしたが、ちょうちょ達のお話を聞いてみましょう。どんなこ
とを話していますか。