文学の授業
スイミー レオ・レオニ さく え たにかわしゅんたろう やく
授業案作成 奥村康造
(1)作品について
@訳が谷川俊太郎です。詩人です。文章が詩的です。
A文体が、詩的です。連体止を使っています。
Bリズムを優先しています。
C外国文学です。感覚が、日本的ではありません。
*大きなかぶ *お手紙
(2)教材として
@音読の楽しさを知る。(詩的な表現でリズムよく音読する)
A言葉の順番を変えて、強調する手法を知る。(文体の工夫)
B言語から映像を想像する。(比喩)
C視点を意識して読む。(三人称全知の視点)
視点は限りなくスイミーに寄り添うが、外の視点です。『スイミーの気持ちは、どうですか。』とは発問
しにくい。『あなたは、スイミーの○○○○をどう思いますか。』という聞き方はできるが、場面を限定
して使いたい。
(3)教材解釈
魚の兄弟達が楽しく暮らしているところへ、恐ろしいマグロがやってきた。赤い魚達は、残らずまぐろに飲み
込まれた。逃げたのは、スイミーだけ。始まりの場面は、大きな魚が支配する世界です。小さな魚達は、岩影
で身をひそめるようにして暮らしています。自由に海を泳ぎまわることができません。最後に、スイミーと赤
い魚達は、大きな魚を追い出します。この作品が象徴するのは、支配者から自由を取り返すため、みんなが力
を合わせる物語です。その中心人物が、スイミーです。読者は、スイミーに憧れます。スイミーは、ヒーロー
なのです。同時に、スイミーだけでは、大きな魚のふりはできません。信頼できるりーだーとその仲間達の物
語です。
(3)授業と発問
@『登場人物を探しましょう。』 全文を読む。
スイミー 赤い魚達 くらげ いせえび ・・・・・・・・・・
A『もう一人、大事な人物がいます。名前はスイミーと言ったのは誰ですか。』
登場人物の1人として、『語り手』を位置付けたいと思います。
三人称全知の視点(文芸研)です。典型的な文がいくつかあります。
B『スイミーの中に語り手が入り込んでいる文をさがしましょう。』
*・・・ミサイルみたいにつっこんできた。(語り手は、スイミーのそばにいる)
*『こわかった。さびしかった。とても,かなしかった。』、語り手とスイミーが一体化しています。
C『主語が省略されている文があります。比較してみましょう。』
(スイミーは、)こわかった。
(スイミーは、)さびしかった。
(スイミーは、)とても 悲しかった。
*主語をつけると、説明になります。主語なしは、スイミーの叫びになります。
D『スイミーは、自分が黒いことを知っていますか。』
*この発問で子ども達は、再度、全文を読みなおすでしょう。そして、知っていたかどうかわかる文章を探す。
授業は、子ども達の発表を聞いて整理するだけです。
*発問は、子ども達に文章を検討させるものが良い。
E『スイミーは、マグロをこわくない。』
*○か×かを問う。自分の立場を明確にして討論に参加する。意見を変えることを目的とした発問である。
F『スイミー達は、大きな魚を追い出した後も大きな魚のふりをしていた。』
*○か×かを問う。大きな魚がいなくなれば、大きな魚のふりをしなくても良い。これから、ずっと、楽しくく
らせたのか。大きな魚のふりをできるのだから、マグロがやってきたら、みんなで追い出すだろう。
G『スイミーに元気をとりもどさせたのは、何ですか。』
*見たこともない魚たち。見えない糸で引っ張られている。この様子をみんなで話し合っておきたい。大きな魚の
ふりをするときの、ヒントになっている。
H『スイミーと赤い魚達になってみましょう。』
*全員で大きなさかなのふりをする。運動場で形を作って動いてみる。マーチングバンドやマスゲームの全員の動
きを見るのも参考になる。2年生の子どもがするには、なかなか難しい。スイミーと赤い魚達の苦労がわかるで
しょう。命を守ることの大切さと大変さを実感させたい。
I『スイミーが目になってよかったことを考えてください。』
*もし、スイミーが赤かったら、小さな魚の塊になってしまう。黒いスイミーが、目になって、全体が大きな魚に
見える。
*スイミーはリーダーだから、目になった。
*リーダーは、みんなを守る。
J『目は、どんな役割をしますか。』
*動く方向、距離、速さを的確に指示しなければなりません。だれかの指示がなければ、全体は動きません。バラ
バラな動きでは、マグロに食べられてしまいます。
(4)留意事項
@授業は実態から組み立てます。学級の状況を正しく見極めて授業の方向を決めます。
A登場人物の気持ちを問う場面は、限定したい。
B『読み方』を教える授業を大事にしたい。
B子ども達は、全文を何回も読んでいます。場面を限定して授業をする課題をはっきりさせておきたい。
Cできるだけ広い範囲を授業の対象としたい。
D全文から考える発問もしたい。