文学の授業


く じ ら ぐ も

           なかがわ りえこ さく 
                                                      かきもと こうぞう え
                                                                                                    
授業案作成 奥村康造

(1)作品について

 @くものくじらは、大きくて、強くて、優しい。子ども達が、大好きな人物である。

 A子ども達にとって、クジラの出現は予想外の展開であり興味を引く。

 B子ども達はくじらに乗って旅をする。夢のような時間である。

 

(2)教材として

 @言葉と音声と事実を統一させる。

  文字を覚えて間もない子ども達です。文字を音にすることの楽しさを実感し始めています。
音読する楽しさを体感させる。

 A言葉のあらわすものを意識させる。

言葉となった文字の集合体があらわすもの(こと)を交流させたい。言葉から想像すること
は、一人一人の経験や習得している知識でちがう。

 B言葉から出来事を想像する。

   想像することの楽しさを体感させる。ファンタジーは、それそれに自由な想像(創造)がで
きる。

(3)教材解釈

 @事件のはじまり

  文学の授業では、場面分けを意識することが大事である。低学年から起承転結を教えていきたい。
場面分けの授業するかどうかは、教材による。教師は、1つ1つの教材を分析し、当然、場面分
けを意識しなければならない。
四じかん目のことです。』、主語が省略され、いきなり物語に入
ります。先生の真似をする子ども達、くじらはだれの真似をしていたのでしょうね。大きなくじ
らが空で先生と子ども達と一緒に体操をします。運動場と空が一体となって大きな大きな画面が
できあがります。

 A事件の展開

  みんなは、手をつないでまるいわになります。『天まで とどけ』と、声をかけあいます。くじ
らがおうえんします。とびたい子ども達、とばせたいくじら、互いの気持ちが一つになって、奇
跡を起こします。

 Bクライマックス

  子ども達をのせたくじらは、元気いっぱい泳ぎ回ります。うれしくて、たのしくて、とても幸せ
だったのでしょう。子ども達は、空の上から一体何を見つけたのでしょう。いままで見たことも
ない風景が、あったのでしょうね。私たちは、楽しく気持ちのいい時に歌います。みんなはどん
な歌を歌ったのでしょうね。時間をわすれて子ども達は、遊びます。

 C事件の結末

  楽しい時間は、とても早く過ぎていきます。今日の4時間目は、本当に楽しい時間でした。毎日、
毎時間、こんなに楽しいといいですね。

(4)発問と指示

 @発問1  『くじらぐもには、どんな色がでてきますか?』

       子ども達は、ページをめくりながら色をさがします。空の青、先生の白、子ども達の赤
と青、山の緑、町のさまざまな色、色を探しながら物語の概要を知ります。

 A発問2  『一番白いのは、何ですか?』

       まず、白いものを再度探します。2度目の読みです。今度は、さらに細部にわたって読
もうとします。やがて、『まっしろい くもの くじら』に気がつきます。
(気がつかなかったら、ヒントを与え気づかせます)

 B発問3  『くりかえされていることばをさがしましょう。』

       『だいじなことは、くりかえす』ことを学びたいですね。子ども達は、『天まで とどけ
 一、二、三。』を見つけます。でも、『もっと たかく』は4回繰り返されます。くじら
のおうえんの言葉です。

 C発問4  『くじらと子ども達になって、声に出してみましょう。』

       最初は、先生がくじらになるのがいいでしょう。会話文だけを読み合います。次に、子ど
もがクジラ役になって動作化しましょう。

 D発問5  『あなたは、どの子どもになりたいですか。』

       クライマックスの絵を見て、どの子どもになりたいか問いかけます。できたら、理由も聞
きましょう。

 E発問6  『うたをうたってみましょう。』

       『線路は続くよどこまでも』にあわせて、詩をつくりましょう。あらかじめ教師が、考え
ておくといいでしょう。みんなで元気よく歌えたら大成功ですね。曲目は、もっといいのが
あるかもしれません。

 F発問7  『くものくじらに、名前をつけましょう。』

       地域のユルキャラを例に出してみてはどうでしょうか。クマモン、ヒコニャン、キーホくん、
などなど。わたしがつけるとしたら、『ハクゲーン』でしょうか。映画『白鯨』を思い出しました。

(5)留意点

 @しつこく聞かない。記号としても言語としても未熟です。言葉からあーでもないこーでもないと、
しつこく聞かない。元気が一番、いい声で読むことが大事です。

 A教師は、文字と音とイメージを常に意識する。子ども達のイメージは、十人十色です。言葉になっ
たことは、いったん、全部受けましょう。

 B『あなたの言っているのは、間違いです』という指摘をしなければならないような発問は、しない。
子ども達の思いを吟味し検証し修正するような授業は、もう少し学年がすすんでからですね。

 C発問は7つ考えましたが、授業時数は5時間くらいでしょうか。必要な発問をすればよい。物語を楽しく
読む
ことを体感させたいですね。